「すごい会議」でセミナー事務局も改革
 村田製作所 事務管理部 岡本義尚さん 

社内改革の一環で、2006年から「シャキッと会議」と題して社員向けに様々な研修、セミナーを開催している村田製作所。セミナー事務局を務める村田製作所 事務管理部 岡本義尚さんに話を伺った。
「我が社の会議は意見の報告会で終わってしまい、気づくとなにも決まっていない、解決していないということが多かったんです。他社から転職してきた人から指摘を受けるくらい。10時開始といっても実際にスタートするのは10:05だったり、終わる時間も明確ではありませんでした」。そこで、「会議」に焦点を当てた研修を探し、たどりついたのが「すごい会議」だった。
2006年8月に管理職向けに開催したところ、「すごい会議は本当にすごい」「私も是非やってみたい」という声が続出し、2回目を開催することに。今回は、役職や部署に関係なく、日頃村田製作所の会議について疑問に思っている人を本社内で募った。話を聞きつけた営業所から「自分も入れてくれ」と手が挙げることもあるほど前評判が高いものになった。「それほど1回目のセミナーが成功したと言うことです。私自身お世辞抜きでこれはおもしろい、是非やりたい、と思いましたから」。

今回の研修では、事前にウォームアップミーティング、事後にフォローアップミーティングを開催することに。「当社は今まで、セミナーを受けたら受けたままでした。大橋さんが、セミナー中は『やる気』をもっても席へ帰ったとたんに元にくるくると戻る、と言われましたが、まさにその通りのことが多かった」。その問題を解決すべく、事前、事後のミーティングを開催するのだ。「セミナー運営自体も改革している。これも『すごい会議』の影響です」。


事務管理部 専任課長
中西稔さん
社内のペーパーレス推進を担当

「今日は、限られた時間の中で、結論を導き出せるような手法をマスターし、実用につなげたいですね。自分自身はいまは仕組みを作る側で、いろんな意見の集約に難しさを感じています」

技術管理部 技術事務課
前田美保さん
入社4年目、研究開発投資のマネジメント・企画を担当

「本を読んで、我が社の会議にはないことがたくさん! 本に書いていることを本当に実践するにはどうすればできるのかを知りたいです。このセミナーはいいチャンスと思って応募しました」

大橋禅太郎の「こんにちは!」の大きな第一声で
セミナーはスタート。

中西さん:しらじらと始まるのではなく、こんにちは!と大きな声で注目をちゃんと引きつけてから始めるっていう、「つかみ」が大切、と改めて実感した。

前田さん:ほぼイメージ通りの人。強そうで。もうちょっと体格のいい人かと思っていましたが意外に小柄でした。

通常の「すごい会議」と同じ資料を使ってのセミナー。
資料は記入形式、その場で考えを出す。まずは、自分の仕事担当、会議に期待することを記入。

中西さん:今まで考えもしなかったやり方。会議前に参加者自身の期待を書いてもらうことによって自然と自らが目標設定する、というのはいいね。押しつけじゃなくて、本当に目標に向かう気持ちになる!

前田さん:(「会議への期待」を書くことで)ちがいますね。書くことで「なんとなく」が「何が何でも」持って帰りたい気持ちになった。

次々に質問をぶつけられ、即答を求められる会場。また、隣の席の人と声に出して質問し、答え合う。

中西さん:みんなに意見をばんばんいわせるから、みんながどう思っているのか、こう感じたのかあ、とわかるのもおもしろい。本は事前に読んだけど、読むだけだとさらっと読み飛ばしてしまうところが、こうして目の前できいていると、あっと気づくことの連続。

前田さん:事前に事務局から「いつもテンション高くしないとついていけないよ」ときいていたのですが、本当にいつ心が安まるんだろう…とドキドキしながらきいていました。

途中、「事実」と「意見」のちがいについて、会議中の発言をつぶさないための小話。

中西さん:「私が言うには〜」をつけるだけですんなり相手の意見が聞ける。こんな考え方もあるんか! これはいただきです。うちの会社でも事実と意見が混合しているので、明確にするのにこういう言葉を使うのはいいな。あと、たしかに他の人の発言を「目のビーム」でつぶすことあるよね。ビーム禁止は賛成! でも無反応に聞くっていうのはなかなか難しい。つい「うんうん」と大きくうなずいてしまう。

前田さん:(黒い手帳を「私が言うには、これは黄色い手帳です」というと反論できないというのは)本を読んだときも「おおっ」て思ったけど、目の前できくと、自分が聞き入れる体になっているのを実感した。事実と意見はちがう、というのに共感。また、人の意見を傍からつぶしていないかと問いかけられ、目のビームの話を聞いたとき、つぶされた経験もつぶした経験もあると感じました。自由に言える環境を作るのが重要だし難しい。「自由に言ってください」だけじゃだめで、「私の意見では〜」をつけるのはなるほど納得です。

紙に書いてから隣の席の人に発表し合う

前田さん:アシスタントについつい自分の主張を押しつけちゃっているんじゃないかな、と最近強く感じていて、なんか私の意見ばっかりになっているなあと。意見を言ってもらう環境にするのに、紙で書くとか、「私の主張には」とつけるというのは、是非使いたいな。言っていないけど頭の中で考えていることを聞き出せる。

問題点の洗い出し。最初に3つ記入してから、言えない問題は何か、ひどい真実は何か、とどんどん掘り起こされていく。

中西さん:部下と上司の間柄では、言えない真実はやっぱり言えないよな…。対等の者同士だったら言えますが、そこに上司が混じったら言えない。これ使いたいけど使えないかもなあ。

前田さん:普通の問題は職場でもよく話に出ますが、口に出せないような問題とかひどい事実は、会社の組織になじんでくるうちに、考えないというか気づかないようにしていたなあ、と。特に、自分自身の問題はこれまで言葉にもせずこっそり自分だけで感じていました。やる気が足りないとか。(隣の席の人に話すのは)緊張しました。特に口に出せない問題点というのは他の部に知られちゃいけない問題点だと思うんです。こんなこと言っちゃっていいのかなと思いつつ、言ってしまった。

他社の事例もまじえながらのセミナーは進む

中西さん:他の会社の具体的な話しとか、サンタクロースの歌の話しも、そっくりいただきです。どこそこさんでもこうですよ、というのは、相手に重要なことを理解してもらう修飾語としていいですよね。

問題点を記入して、「どのようにすれば〜」に置き換えて、隣の人に発表。戦略的フォーカスにつなげる

中西さん:「どのようにすれば〜」は打ち出の小槌! 魅力的な疑問文というのは目から鱗。大変使える。いただきです。でも魅力的なキーワードはなかなか難しいなあ。日本一、世界一もいいけど、もっといいのないかな。やる気が出る言葉、やる気が自然と出てくる言葉が重要だと思った。

前田さん:自分の言葉で、今もっている問題点を「どのようにすれば〜」で言い換えたときに、本当に、勝手に解決策を考えてしまっていたことが驚き! 隣の人の自分の仕事とはまったく関わりのない人の問題も、それをきいただけで考えてしまう。